ブライアン・ウィルソン - SMILE

アーチスト:ブライアン・ウィルソン

スマイル

スマイル

伝説的に語り継がれた幻のアルバムが現実に
 ビーチボーイズのファンだったらもう二度と日の目を見ることはないだろうと誰もが諦めていたアルバム「スマイル」がタワーレコードの店頭に積まれているのを目撃した日のショックは忘れられない。このアルバムはブライアンの神に捧げる壮大なロックオペラとしてビートルズのサージェント・ペパースと並ぶ(あるいは上回る)名盤となるはずだったが、幾多の困難の末、プロジェクトは中止に追い込まれでしまった。このことは自叙伝やDVD版「スマイル」に収録されている。そして2004年このブライアンの意欲作が37年の歳月を経て日の目を見ることとなった。
 実はこのアルバムはすで数々のブートレック版が出回っており、その未完成曲の断片は既に聴いていたが、海賊版だけにさすがに音質もひどく、ブライアンがLSDを多用した結果、精神分裂すれすれで作られたサイケデリックアルバムというあくまで音楽的資料という位置付けにしかすぎなかった。それはそれとして未完成ながらもその中に潜む神がかりでおどろおどろしい雰囲気は惹かれるものがあり、確かに完成していれば、歴史を塗り替えかもしれないという強い印象は残していた。
 このオフィシャル版はそのような怪しげな雰囲気は影を潜めいるが、まさに神に捧げる音楽という名にふさわしく、M6〜M10の神がかりな曲間のシークエンスの美しさには自然と鳥肌が立ち、涙した(おそらくブライアンのこれまでの苦悩を知っていたせいもあるが)。かつてこれほどまでに純粋で神秘的なポップミュージックがあっただろうか?と言いたくなるぐらいの出来である。

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6. Cabin Essence 7. Wonderful 8. Song For Children 9. Child Is Father of the Man 10. Surf's Up

スマイル DVD

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SMILE-Brian Wilson 予告編

ブライアン・ウイルソン自叙伝―ビーチボーイズ光と影

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